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日本在宅医学会の全国大会を平成26年3月に浜松にて開催させて頂きます。
在宅医療は、超高齢化社会、多死社会を迎える日本において、医学界だけでなく社会全体から非常に注目されております。在宅医療を評価し、展望する在宅医学の確立、そして在宅患者の”生活の質”の向上を目指し設立された在宅医学会は、本年で設立15年を迎えましたが、その間に在宅医療を取り巻く環境も大きく変化してきました。治す医療だけでなく、支える医療の大切さを社会が受け入れるようになり、それに伴い、在宅医療の必要性を社会全体が理解し始めたのです。在宅医学会の理念が生かされるようになってきたのです。
来る2030年日本では、亡くなる方が現在の年間約120万人から約160万人に増加すると言われております。この間には、亡くなる方が増えるだけでなく、その方々を支える若い世代は逆に減少してしまいます。65歳以上人口の割合は、現在の24.1%から増え続け、2025年には30%超え、2060年には39.9%と40%に迫ると予想されています。
年間160万人の方々をどこでどのように看取るかという議論も大切ですが、それ以上に、社会はその方たちの生き方をどのように支え、人それぞれはいかに納得できる人生を送ることができるかが大切なのです。何も対策を講じないままでいると、今社会問題として取り上げられている孤独死が増えるでしょう。地域社会からの十分なサポート、そして十分な医療や介護を受けることができず、不安の中での生活を余儀なくされる高齢者や弱者が増えてしまうことも予想されます。自分の納得できる生き方をできないまま、生きていかざるを得ない人が増えてしまうかもしれません。あるいは、寝たきりの家族に十分な医療や介護を受けさせることができず、苦しい思いを持ち続ける家族も増えてしまうかもしれません。
現在日本は、治す医療においては世界でもトップレベルの水準を維持しています。それに比べて、支える医療においては先進国の中でも低い水準に甘んじています。これからの日本が安心して人生を全うできる社会になるには、もちろん治す医療も大切ですが、支える医療をより充実させていかなければなりません。そのために、在宅医療を充実させなければなりません。誰もが住み慣れた自宅で暮らしたいのです。また誰もが、必死で自分を育ててくれた親を、本当は安心して自宅で住まわせてあげたいのではないでしょうか。もちろん、すべての人が自宅で最期まで暮らすことができるわけではありません。しかし、少しでも多くの人のその気持ちをかなえてあげることができるように、在宅医療は広まっていくべきです。在宅医学会は、そのような成熟した社会になるような道標にならなければならないと思います。
第16回大会は、これまでの積み上げてきた議論を更に充実させる企画だけでなく、在宅医学会が日本の未来の道標となるべく、新たな企画を考えております。日本の未来を在宅医学会としてどのように創造していくか熱くそして深く議論していきましょう。
皆さん、是非ご参加ください。